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能登はやさしや土までも

投稿日:2024年1月15日 更新日:

亡くなられた方々の御冥福をお祈りします。被災された方々に一日でも早く平穏が戻りますよう、微力ながら行動いたします。

2024元日午後4時、能登を大地震が襲い、その後も大きな余震が続きました。

金沢でのゆれ方とすぐ確認した震源情報から、これは尋常ではないことが起こったと直感しました。直後、家族、生徒、保護者の皆様、能登に住む全ての方々の無事を、ただ信じ祈りました。

東日本大震災の時も、今回も、死者の情報は最初、ゼロでした。余震が続く中、誰も建物のしたじきになっていないこと、なっていてもすぐに助け出されること、誰も亡くなられていないことを祈りました。

元日からの一週間、石川の1月にしては、驚くほど暖かい、ときには春の様な日が続きました。それが被災地にとって、倒壊した建物のなかで救助を待つ人にとって、幸いと言えるのか、いやそれなら震災そのものが無かったべきであろうになどと、ただうろうろと考えました。神というような存在がいるのかいないのか、地球というのは宇宙全体から見たらどれほど小さいのか、さらに、地殻変動からすれば、我々の家や建物や人間自体が、なんと小さいものかと、ただ思っては考えては過ごしました。

毎晩、ゼミで一人になる度に、どうかいままさに建物のしたになっている人が、少しでも寒さから守られることを、一人でも助かることを祈り続けました。

能登や福井の嶺南などは、道が整備されるまでは平時でも冬に陸の孤島となることがある場所だったと聞きます。その道が寸断されれば、何が起こるかは言うまでもありません。何度も通った能登路、何度も眺めた能登の家々、田畑、山林と道、全て、どうか無事であってくれと祈りました。

いまも捜索が続く中、何名の方が亡くなられたのか、被害の大きさは、など、調べて知る事はできますが、想像することはできません。

大切な人が遠くへ行ってしまったとき、そのことをすぐには受け入れなくていいのだと、今の私は理解しています。『今日もどこかで生きているかな』と錯覚したままでオッケーと思うことにしています。

かつて、祖父を亡くした時も、祖父が死んだことを受け入れようとしても、想像しようとしても、それは不可能でした。今でも「これを尋ねたら、こう答えるだろうか」などと考え、会いに行けば居るのではないかと、時々思います。

なんとなく僅かに、ときどき鮮やかに、祖父は私の中で生きています。

能登出身のある人が、「能登はやさしや土までも」と私に言いました。その方のご家族様が「不自由を常と思へば不足なし」と仰って、生活の立て直しを行っていることも聞きました。

自然の中で生きるときに、人は他者を気遣い、他者と協力しなければ生きていけません。冬の天候のためでしょうか、北陸の人はもともと、このことを知っています。

「能登はやさしや土までも」という言葉は、会えなくなった後でさえも誰かを優しく包み込みつづける能登の人を思わせます。

西山郷史氏が『能登のくに 半島の風土と歴史』のp.30~33にて、この言葉の初出を元禄9年(1969年)ではと論考しているそうです。

具体的には以下のとおり。
a.もともと労作歌の一部であったらしい。「○○泥棒、△△盗人、能登はやさしや土までも」だったとの伝えがある。
b.1696年(元禄9)に能登をめぐった加賀藩士、浅加久敬が『三日月の日記』の中で書き記した。
c.浅加久敬は1709年(宝永6)の旅日記『能登浦伝』にもこの語句を書き記している。
d.18世紀末に九淵斎由己が『能登の海』の中で書き記している。
e.1850年(嘉永3)に森田良郷が著した『続咄随筆』にも記されている。
f.森田柿園が『能登志徴』に引用した太田道兼の「能登誌」にも記されている。
引用元 レファレンス事例詳細(Detail of reference example)
労作歌 (ろうさくうた)
労働の際に歌われる歌の総称。すべての生産労働の際に歌われる歌で,〈仕事歌〉〈作業歌〉〈労働歌〉ともいう。労作歌は民謡として最も本質的なもので,多くは労働能率を高めるために作業の進行に対する一種の拍子歌として歌われるのが普通である。したがって歌は作業のリズムと合致するが,その作業が本来の拍子音(タクト)を伴わない場合には,人工的な手段として作業に適した掛声を入れる。その掛声を音楽化したものが〈囃子詞(はやしことば)〉で,たいていの労作歌には囃子詞がついている。なお,K.ビュヒャー《労働とリズム》(1896)は,東西古今の作業歌をもとにリズムや歌がいかに労働に作用するかを論じた書として知られる。
 労作歌には一般に作業を進める刺激として歌うものと,作業の休養の際に歌うものと2種ある。たとえば田植歌や麦搗歌(むぎつきうた),木挽歌(こびきうた),地搗歌(じつきうた),茶摘歌(ちやつみうた),山歌等は前者に,牛追歌,長持歌,駕籠舁歌(かごかきうた)の類は後者に属する。労作歌の中には酒造歌,木挽歌,油絞り歌,漆搔歌(うるしかきうた)等のように,ある一定の期間だけ雇われる季節労働者が歌う〈季節労作歌〉があり,これは比較的共通する歌が多いが,中には〈酒造歌〉のように作業の工程に従って数種の歌があるものもある。寒天屋歌,木おろし歌,紙漉歌(かみすきうた),茶山歌,藍(あい)こなし歌等も,その作業の手順によって異なる歌が歌われる。また岡山県の花莚(はなむしろ)織歌や奈良県,兵庫県等の素麵(そうめん)掛歌,愛媛県,熊本県の櫨取歌(はぜとりうた),高知県の鰹節造歌(ばらぬきうた),山口・長崎・高知・和歌山県等の鯨歌のように,その地方に発達した特殊な作業歌もある。しかし,これらの労作歌は明治期以来の生産様式の変化,機械化などに伴い,しだいに衰滅しつつある。
→ワーク・ソング
執筆者:浅野 建二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版

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