妻がルンバールを受けたことがある。
立ち会うというと変だが、術式を見せていただいた覚えがある。
当然、素人考えでも非常な注意を必要とする術式だろうので、興味深く思ったものだ。
看護師さんが落下菌に配慮しつつ器具一式を準備していたことを鮮明に覚えている。
やはり、看護師さんも「師」の名に相応しい職である。
(勉強の成果の一つは、目に見えないものを大切にできることだ。
いつかペルーに、見えないものを見に行こう)
「ルンバール」はドイツ語 lumbal に由来する。
さらにその語源はラテン語に由来し、「腰の」とか「腰椎の」という意味をもつ。
腰椎穿刺はドイツ語で Lumbalpunktion「ルンバールパンクツィオン」 と呼ばれ、punktion は「穿刺」を意味する。
英語では lumbar puncture「ランバァパンクチャ」。
この処置は英語では spinal tap とも呼ばれ、tap は医療用語では「穿刺」の意味となる。
脳脊髄液(CSF)を20~50mL抜く検査を英語では CSF tap test や lumbar tap test という。
CSF は cerebral spinal fluid の略である。
lumbar の語源 lumbus(腰)は、lumbago(腰痛)の語や牛肉の sirloin につながる。
sirloin はフランス語 surloigne に由来し、sur(上)+ loigne(腰肉)の意味をもつ。
surはsuperに由来する。
この語が英語に移った際、 sur の意味が分からなかったようで、「王がおいしすぎる肉にナイトの称号を与えた」という嘘話が生まれた。
オックスフォード英語辞典に複数の言及があり、この名付け(サーの称号)を、1655年にヘンリー8世がとか、1738年にジェームズ1世がとか、1822年にチャールズ2世が、それぞれ行ったとされる話が書かれているが、全て嘘だそうだ。
(このような嘘語源を民間語源というらしい)
まとめると、ルンバールは「腰」って意味で、サーロインは「上級腰肉」ってこと。
ルの音とロの音が親戚ってことだね。
そういえばカルタとカルテとカードもチャートも音の親戚。
どれもギリシア語 khartēs(紙、パピルスの巻物)に由来。
これがラテン語 charta(紙、書かれたもの)になり、そこから4語それぞれ派生したらしい。
↓
ラテン語 charta(紙、書かれたもの)
↓
├── ポルトガル語 carta → 「カルタ」(室町~戦国時代に宣教師から日本へ)
├── ドイツ語 Karte → 「カルテ」(明治期にドイツ医学用語として日本へ)
├── 英語 card → 「カード」(幕末頃に英語圏から日本へ)
└── フランス語 charte → 英語 chart 「チャート」(大正時代に日本へ)
(経路は必ずしも裏をとれたわけではありません、思索の参考程度になさってください)
参考
https://ml.medica.co.jp/series/medicalterm/721
https://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2022-11-07-1.html
https://x.com/latina_sama/status/1930949788067123204
https://note.com/latina_san
ほか、いくつかのサイトや辞書で調べた。